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Jリーグで3度(1997年、1999年、2002年)の優勝を誇るジュビロ磐田が今季、J2降格の憂き目にあった。1994年にJリーグ正会員 (1993年はJFL)となったクラブにとって、J2で戦うのは来季が初めての経験になる。かつての”名門”チームと、それを支えるサポーターには、この 先、どんなイバラの道が待っているのだろうか――。
<中略>
ガンバサポーターの前田さん(仮名/男性・28歳)がJ2の”過酷さ”を知ったのは、まだ2013年シーズンが始まる前、降格決定直後だった。
「『ヤッ ト(遠藤保仁)やコンちゃん(今野泰幸)がいなくなったら?』と考えて、ゾッとしました。メディアで『レッズ、●●選手に興味』『グランパス、●●選手獲 りへ』というニュースを見る度に、不安な気分になりましたよ。主力がすぐに残留を表明してくれて、ホッとしましたけど……」
迎えた今季のJ2では、開幕12戦無敗とシーズン序盤から好位置につけ、第39節終了後にJ1復帰を決めた。だが、その道のりは決して平坦でなかったと、新井さん(男性・38歳)は振り返る。とりわけ、”J2の洗礼”を受けたのが、アウェーでの戦いだった。
「相 手のテンションがすごくて、常に(格下のチームが必死で向かっている)天皇杯の2、3回戦を戦っている感じ。それを打ち破るしんどさがありますね。普段の 試合より相手の当たりが激しくなるし、サポーターの声量もすごい。鳥取、岐阜、千葉、栃木に行きましたが、特に岡山がすごかった」
今季の J2最終節が行なわれた11月24日、ザスパクサツ群馬戦もそうだった。ガンバを迎えた群馬の正田醤油スタジアムは満員の観客で埋まり、ザスパがちょっと したチャンスをつかむ度に大歓声があがった。試合は終始ガンバペースだったが、大声援に後押しされたザスパは最後まで諦めず、後半42分のゴールで引き分 けに持ち込んだ。名門であればあるほど、J2の敵地ではそうした”プラスアルファの力”にも打ち勝たなければならないのだ。
サポーターには、他にもJ2ならではの大変さがある。地方に本拠を構えるクラブが多く、応援に行くための移動時間、費用がかさむのだ。新井さんは 「ACL(アジアチャンピオンズリーグ)で行った中国やシリアに比べれば楽ですよ」と言うが、それは一部の筋金入りファンの意見だろう。
富山さん(女性・25歳)は、「J2には交通の便がよくないスタジアムも多く、見に行きづらくなりました」と不満をこぼす。さらに「J1のときは、『ヤッ トがあの選手と戦っているところを見たい』と思って足を運んだけど、J2だと相手チームのカラーもわからないし、選手も知らないから、『見たい』と思えな い試合もあった」と続けた。
ただ、ガンバサポーターの多くは、J2での戦いを前向きに捉えていた。前述の前田さんは、「いろんな町に行け るし、J2も意外と面白かったですよ。チームやサポーターも結束するし、J2を経験するのも悪くないんとちゃいますか」と話している。また、桐山さん(男 性・41歳)は、「ベテラン選手が多く、チームは選手を入れ替えなければいけない時期でした。長谷川健太監督に代わって、若手を使えたのはよかったです」 と語った。が、ふたりが口をそろえたのは、「結果的に1年で戻れたから、よかった」という前提だ。すぐにJ1復帰を果たせるか否かで、その後のクラブの命 運、サポーターの苦しみも、天と地ほどに変わってしまう――。
(以下略)
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